東北芸術工科大学 文化財保存修復研究センター

Tohoku University of Art and Design,
Institute for Conservation of Cultural property

歴史・考古部門

先人たちの暮らしの歩みを示す遺跡は、私たちの身近なところに数多く存在しています。それらは一般には埋蔵文化財包蔵地として「遺跡地図」に登録されます。地下に埋もれた文化財は、一度発掘してしまうと過去を復元するための情報が永久に失われてしまいます。そこで遺跡は発掘せずに現状のまま末永く伝えることが最良の保存方法といえます。

しかし、遺跡は発掘調査することで、その土地で起こった過去の歴史を鮮やかによみがえらせてくれます。また、これを後世に保存していくためには、分布範囲や部分的な試掘によりその内容を正確に知る必要があります。これが遺跡の分布調査や試掘調査とよばれるものです。

遺跡の中でも古墳や城跡、石切り場跡、古道跡、石造物群などは、現在も地表にその姿を顕在化させており、発掘調査をしなくても、測量や実測といった調査により、歴史的価値を研究したり、保存継承のための資料を得たりすることができます。

考古部門ではこれまで、山形県内の遺跡の保存継承を目的として、以下の調査を行ってきました。山形県鶴岡市鷺畑山古墳群・大西山古墳の測量調査。この古墳群は現存する日本海側の古墳分布の北限を示す遺跡で、測量によって3基の方墳と1基の円墳の所在が明らかになりました。

山形県置賜地方では飛鳥時代の遺跡を重点的に調査しており、高畠町高安窯跡群の発掘調査、高畠町北目古墳群ほか4件の測量・発掘調査、米沢市戸塚山古墳群の測量・発掘調査を行ってきました。これにより7世紀後半ごろの仏教文化の浸透や横穴式石室墳の構造的特徴を示す資料が蓄積され、北関東との緊密な関係により当地域の古代社会の形成が始まったことが明らかとなってきました。これらの調査は高畠町教育委員会や米沢市教育委員会と連携して行ったもので、その成果は今後の遺跡の保存整備に活かされていきます。

中近世の遺跡では、山形市蔵王成沢の空清水遺跡(石鳥居の石切り場跡)の測量調査、西川町志津の六十里越街道石畳・茶屋跡の測量調査を実施しました。前者は蔵王成沢にある重要文化財「八幡神社の石鳥居」の採石地と伝承される場所で、岩盤から切り離す直前の柱が残っています。後者は江戸時代後期に整備された街道の石畳や茶屋の礎石建物跡です。石畳には、自然石を丁寧に敷き目地を粘土で埋めた区間や、石垣石のような矢割した大型石材を平らに敷き詰めた区間などがあり、工区ごと技術の違いが読み取れました。

このほか、現在高畠町では街並みに残る高畠石の文化財に焦点を当てて、住民の方々と共に「まちあるきプロジェクト」を実施しています。自らの町の来歴と特色ある景観を再発見し、これを地域資源として新たなまちづくりに活かしていこうというねらいがあります。


歴史考古|地形測量

地形測量|平板を用いて1/100の地形測量図を作成(鶴岡市鷺畑山古墳群|2003年)

歴史考古|発掘調査

発掘調査|燃焼部の床面を精査(高畠町高安窯跡群B1号窯|2004年)


歴史考古|発掘調査

発掘調査|床面遺物の検出作業(高畠町高安窯跡群A1号窯|2006年)

歴史考古|実測調査

実測調査|横穴式石室の石積みを実測(米沢市戸塚山106号墳横穴式石室|2010年)


歴史考古|保存科学部門と連携

保存科学部門と連携|土層断面を樹脂と布を用いて剥ぎ取る(高畠町高安窯跡群A1号窯|2006年)

歴史考古|現地説明会

現地説明会|調査後に地域住民の方々に調査成果を説明(高畠町北目5号墳|2008年)


歴史考古|3次元計測

3次元計測|3次元レーザー計測器を用いて石切場を測量(高畠町瓜割山石切り丁場|2009年)

歴史考古|実測調査

実測調査|石畳の石を一つずつ丁寧に実測(西川町六十里越街道|2011年)


歴史考古|石造物調査

石造物調査|石碑・石祠をスケッチして大きさや記載された文字を調査(高畠まちあるきプロジェクトによる石造物の悉皆調査|2011年)

歴史考古|刊行文献

刊行文献|発掘調査ごとに報告書を作成(2002〜2011年)